『シャーロック』の会話について3
次の会話はドラマ『シャーロック』シーズン1第2話「死を呼ぶ暗号」からの引用になります。
セバスチャン: I'm glad you could make it over. We've had a break-in, Sir William's office, the bank's former chairman. The room's been left here like a sort of memorial. Someone broke in late last night.
ジョン: What did they steal?
セバスチャン: Nothing. left a little message. seconds apart. So, someone came up here in the middle of the night, splashed paint around, and left withiin aminute.
シャーロック: How many ways into that office?
セバスチャン: Well, that's where this gets really interesting.
① I'm glad you could make it over. は「来てくれて嬉しいよ」と言った意味だと思うのですが、 make it を辞書でひくと、 able to attend an event that have been invited と出てきます。 そのため、日常的に「会えて嬉しいよ」のような意味では使わないのでしょうか?
② How many ways into that office (are there)? から are there が省略されたものですか?
③ 最後のセリフの that と this は何を指していますか? 特にthis は前出の a brek-in という語句を受けているのか、それとも、 「自分が今している話」を指していて、前出の何かを受けているわけではないのかで迷ってしまいました。
お手数ですが教えていたいただけるとたいへん助かります。
回答
①I'm glad you could make it over. の意味とニュアンス
「make it」の説明としての「able to attend an event that you have been invited to」自体は、
直訳すると、「あなたが招待されたイベントに参加することができる(都合がつく)」という意味になります。
ただしこれは、あくまで「make it」を、【英英辞典で辞書的・字引的に定義した硬い説明】になります。
※英英辞典の定義は、意味を別の英語で「説明」するものであって、「翻訳」ではないので、ニュアンスがつかみにくいことがあります。
※日本語の国語辞典でもよくあると思います。
もう少し口語的なニュアンスとしては、例えば
・「(招待を受けた)集まりに来ることができる」
・「(誘われた)イベントに出席できる」
・「(呼ばれた場に)来られる都合がつく」
みたいな理解が自然だと思います。
つまり、「I'm glad you could come / make it (to the meeting)」は、
「来てくれてうれしい」「都合をつけて来てくれてありがとう」という意味で使われます。
なお、ここでの make it over は少しカジュアルで、「わざわざ来てくれた」「来るのが大変だっただろうに来てくれた」という温かいニュアンスを含みます。
・make it =(予定やイベントに)都合をつけて来る、間に合わせる
・make it over =「(こちら側まで)来る」ことを少し柔らかく言った表現
なので、ここまでの内容をまとめると、
「来てくれて助かるよ」
「わざわざ来てくれてうれしい」
のようなニュアンスになります。
②How many ways into that office? の文法
これは How many ways into that office (are there)? の are there が省略された形です。
英語の会話では、質問文で 「are there / is there」 のような部分を省略することがよくあります。
とくにシャーロックのようなテンポの速い会話では、
> How many ways in?
> How many exits?
のように非常に短く言います。
なので、文法的には省略されていますが、意味としては「その部屋に入る方法は何通りある?」という完全な疑問文です。
③ that と this の指示内容
セバスチャンの最後のセリフの「Well, that's where this gets really interesting.」については、
以下のように分解して考えるとわかりやすいです。
・that → 直前の「How many ways into that office?」という質問、つまり「侵入経路の数」という話題を指す。
→「まさにそこが(話が)面白くなるところなんだ」
・this → 自分が今している「事件の説明全体」を指しています。
→「この件(=今回の侵入事件の話)」のことです。
つまりセリフ全体の自然な訳としては、
「それ(侵入経路の話)がね、この事件を本当に面白くしているところなんだ」
なので、「this」 は a break-in そのものだけを指しているわけではなく、
「自分がいま説明している事件(the situation / the case)」をざっくりまとめて指す使い方です。
英語ではよく 「this」 が「今自分が話している話題」を指すときに使われます。
