would have 過去分詞 〜 by now について
いつもありがとうございます。
次の英文は、ドラマ『シャーロック』シーズン1第2話「死を呼ぶ暗号」からの引用になります。
(銃口を突きつけながら)
If we wanted to kill you, Mr Holmes, we would have done it by now.
この文は、形としては条件節が仮定法過去、帰結節が仮定法過去完了のように見えるのですが、by now があることを考えると、帰結節の解釈は、仮定法過去完了「(過去に)〜しただろうに」ではなく、
現在完了の完了用法「今までに(by now)殺してしまっている(have done it)」+仮定法過去で現在の推量を表す would 「だろうに」
と考えた方がしっくりくる気がしました。
このように考えることは文法的に可能ですか?
また、文法的に可能な場合、この文の解釈をして正しいのでしょうか。
お手数ですが教えていただけると大変助かります。
回答
▼文の構造を分解してみると
確かに、文の表面構造だけを見ると
・if節: If we wanted to kill you → 仮定法過去(過去形による「今そうだとしたら」の非現実仮定)
・主節: we would have done it by now → 仮定法過去完了(過去完了形による「過去に〜しただろうに」)
という 時制のズレ があるように見えます。
そしてこれは、文法的にはいわゆる「混合仮定法」と呼ばれるものです。
▼「by now」が示す時間感覚
次に、「by now(今までに)」は、現在完了(have done) によく結びつく副詞句であり、「過去から今に至るまでの完了」を表します。
「would have done it by now」=(もしそうなら)今までにもうそれをやっていた(=今ごろには終わっている)
つまりこれは、「過去の一点でやっていたはず」ではなく、今の時点までに完了しているはず という時間の幅を持つ完了表現です。
そのため、主節の意味としては「(今までに)もう殺しているはずだ」という「現在完了的」な含みを持っています。
▼意味構造の自然な解釈
ここまでの内容を踏まえて、文全体を直訳すると、
「もし我々が君を殺したいと思っているなら、(そんな気があるなら)今ごろもう殺してしまっているだろう。」
となります。
つまり、
・if節(仮定法過去) は「現在の意図や状態」に対する非現実の仮定
・主節(would have done it by now) は「その仮定が現実なら、過去から今までにすでに結果が起きているはず」という「現在完了的完了」
という時間軸のずれを持った混合仮定法ということですね。
なので、質問者様が書かれているように、「仮定法過去完了」として「過去の事実に反する仮定」ではなく、
「現在そうなら、今までにもうそうなっているはずだ」
という構造を表しており、by now の存在によって「完了用法+仮定法過去」の意味が自然になってます。
つまり、質問に書かれている解釈は、文法的にも意味的にも正しい理解かと思います。
▼こんな感じで使われます。
同じような分の構造はネイティブでもよく使われます。
> If he wanted to quit, he would have done it by now.
(本当に辞めたいなら、とっくに辞めてるさ。)
> If they were going to attack, they would have done it by now.
(攻撃するつもりなら、もうしてるだろう。)
これらも同じ「現在の仮定+過去完了の結果」で、混合仮定法+現在完了の完了的意味を持っています。
