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2022-06-10 21:53

犀の角の様にただ独り歩め を英語に訳すと?

仏教の本で釈迦の言葉でとても好きな言葉なのですが、二つ英訳していただきたいです。
“犀の角の様にただ独り歩め“
もう一つ“一切皆苦“です。
英語にするとどの様な表現になるのでしょうか???

回答

2022-06-11 05:46:38
Kevin@MusicoLingo

仏教の言葉は、もともとサンスクリット語やパーリ語ですので、それから英語に訳されたものを使う方が、正確です。日本の仏教で使われているのは、遠い昔に翻訳された中国語なので、それから英訳すると多重の翻訳になってしまいます。

とはいえ、英訳にもいろんな翻訳があります。キリスト教の聖書はもっと多数の英訳があります。どの翻訳を使うかは、個人の解釈の仕方や、その言葉を使う目的によって選ぶといいと思います。

「サイの角のように、ただ独り歩め」

これはブッダの初期の教えで、寺院などの集団の中に入って修行することに対して、森や洞窟の中で、独りで熱心に修行することの恩恵を説いたものです。「目的に向かってまっすぐ進め」という意味ではないので、気をつけてください。

タニサロ・ビクの英訳は、こうなっています。

Wander alone like a rhinoceros.
サイのように歩き回れ。

https://www.accesstoinsight.org/tipitaka/kn/snp/snp.1.03.than.html

翻訳に注釈があります。パーリ語の「khaggavisāna」を直訳すると、「sword-horn」(刀、角)で、間接的にインドサイのことを指していると言われています。

インドサイには刀のような角が1つあります。ブッダはこの角を比喩として使い、周りの人たちから受ける影響に依存するのではなくて、独りでも熱心に修行しなさいと説いたのです。

しかし、角は体の部分であって、それ自身は歩き回ることが出来ません。「角のように歩き回れ」というのは、現代語では変です。そこでタニサロ・ビクは、上記のように、「サイのように歩き回れ」という英訳にしました。実際に、インドサイは、一頭で歩き回るそうです。

変でもいいから、「インドサイの角のように歩き回れ」にするのであれば、こうなります。

Wander alone like the horn of the Indian rhinoceros.

「一切皆苦」
sabbe sankhārā dukkhā

一切皆苦は仏教の根本ですが、直訳すると、

All is suffering.

になってしまいます。これだと「そんなはずはない、楽しいことだってたくさんある」という反論がすぐにあります。そんな悲観的な考え方は、受け入れられません。

まず、「sabbe sankara」とは、

all formations
つくり上げられているものすべて

と言う意味ですが、もう少し分かりやすくするために、次のような訳が使われています。

all volitional activities
意思を伴う活動すべて(漢語で「行」)

all mental formations
心がつくり上げるものすべて

everything created by delusion
痴(貪瞋痴の痴)によってつくられたものすべて

all experiences
すべての経験

さらに難しいのは「dukkha」です。大昔の人が、パーリ語の「dukkha」を漢語で「苦」と訳しました。実は、日本語にも英語にも、「dukkha」と一致する言葉はありません。

蚊に刺されるような痛みから死ぬほど激しい痛みまで、またはちょっとした不快感から夜も眠れないような悩みまで、非常に範囲が広い言葉です。

unhappiness
不幸

pain
痛み

unsatisfactoriness
不満足

stress
ストレス

以上を考慮して、私が個人的に考えているのは、これです。

All activities are sources of stress.
すべての活動はストレスの源

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