仮定法未来 were to の用法
If S were to + 動詞の原形、(主節)S + 過去助動詞 + 動詞の原形
仮定法未来で were to (was to) の形で、後半の主節に命令文が来ることはないと習ったのですが、
「VisionQuest 総合英語 Ultimate 2nd Edition」に、 仮定法未来の単元で、参考の部分で以下の文が掲載されているのですが、
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■参考 1人称、3人称単数の場合、口語では were to が was to と表されることがある。
If he was to come, tell him to wait.
(彼が来るようなことがあれば、待つように言ってくれ。)
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これは、主節に命令文がきているようにみえるのですが、 文法的に間違っているのか、口語とかで使われることがあるのか どのように理解していいのかよくわかりません。
一応、were to のあとに命令文を主節にとるかどうかについての参考ではないので 例文として単にあまり適当でないものを選んでしまったのか、 本当にこういう使われ方をするのなら、 そもそもの仮定法未来でwere to の説明がおかしい気がするし悩んでいます。
VisionQuestは有名な英語の英文法書なのでさすがに適当なこと書いてないと 思うのですが、もやもやします。
回答
「命令文が来ることがない」という文法があるとは聞いたことがありません。「命令文を使うことは勧めない」ということであれば、何となく理解できます。
有名な英語の文法書を批判して恐縮ですが、その例文は不自然です。日常の会話で、未来の話をするとき、実現の可能性が低かろうが高かろうが、次のように言うことがほとんどです。
If he comes, tell him to wait.
つまり、仮定法を使う必要はないのです。伝えようとしていることが単純過ぎます。
仮定法を使っている人は、教養があって、言葉遣いが丁寧な人です。上品でフォーマルな印象を与えます。実現の可能性が低いことを表現するために、仮定法を使って、
If he were to come, tell him to wait.
と言っても正しいですが、前半はフォーマル、後半はカジュアルな組み合わせになります。それはまるで、上半身にネクタイを締め、下半身には短パンをはいているようです。
直します。
If he were to come, I would tell him to wait.
上の文であれば、前半と後半のバランスが取れています。また、「私だったら待ってもらうように彼に言いますよ」という程度の、命令口調ではない、柔らかいアドバイスになります。そういう意味で、「命令文の使用は勧めない」というのなら、文法というより、ガイドラインとして、理解できます。
「If he was …」とするのは、アメリカでもたまに聞いたり読んだりします。しかし、それは、仮定法 (subjunctive mood) について詳しく勉強する機会のなかった人たちが、三人称単数の he に were が続くのは変だと考えて、間違って was に修正しているからです。でも、実現の可能性が低いことを示すためには、「If he were to…」が効果的で、教養のある人たちはそうしています。