回答
<原句>
an international society
英語で話したり書いたりしていると、常に頭の中で意識していることがいくつかあります。その中のひとつが、名詞が可算名詞か不可算名詞か、ということです。
そんなこといちいち気にしてしゃべったりしてないよ!っていう方もいらっしゃると思うのですが、可算・不可算というふうに考えていなくても、英語では、名詞に形があるものか、そうではない実体のない概念的なフワフワしたものか、ということを、はっきりと区別するクセがあります。これを間違うと、違った意味にとられてしまうことがあります。
例えば、
I like cats.
I like cat.
I like the cat.
I like a cat.
どれも似たような文ですが、意味が微妙に変わります。
I like cats.は、猫、という形のある生き物がいて、1匹の猫っていうことじゃなく、とにかく猫っていう生き物が好きっていうことを言いたいときには、複数形にします。そうすると、そのcatsの中にあるいろんな猫についてこだわらず、猫って生き物が好きだってことが言えます。
I like cat.というと、冠詞がついてないので、猫に形がありません。つまり、数えられない猫ってなに?ってことになって、下手をすると「え?あなた、猫の肉が好きって言ってるの?」ということになりかねません。これと同じ要領で、豚肉が好きです、という時に、I like a pork.とは言わず、冠詞を使わずにI like pork.です。同じ要領で、I like chicken.なのか、I like chickensなのかで、鶏肉が好きなのか、コケコッコーのにわとりさんが好きなのか、という意味に分かれます。
I like THE cat.というと、例えば会話の中である特定の猫のことがすでに話題に上っていて、その猫のことが好き、っていうことになります。
では、I like a cat.ですが、これは文法的に間違ってはいませんが、コミュニケーションの中ではちょっと違和感のある文です。私は、ある猫が好きです。でもどの猫か特定もしてないし、これだけでは「ん?どの猫のこと言ってるの?」という疑問を掻き立てます。
長くなりましたが、原句のan international societyにanがついているのは、societyが実体のある数えられるものであることから、必ずsocietyという場合には、aをつけるか、もしくは特定できる冠詞theや、our societyなどが必要になります。ということで、「数えられるというニュアンスなのか、対象は一つというニュアンスなのか、不特定というニュアンスなのか」ということを、すべてこのanが伝えているということになります。
英和辞典で名詞の単語をひくと、必ずそこにその単語が可算名詞か不可算名詞かが書いてあります。名詞によっては、可算か不可算で意味が異なる場合も多く、辞典でもきっちり説明してあります。名詞をひくときは、可算か不可算かを確認すると、文章のなかでスムーズに使うことができます。
ちなみに、冠詞を必要とする名詞でも、端的に内容を伝える必要があるようなシチュエーションでは、省くことがあります。例えば、新聞の見出しなどは、できるだけコンパクトにインパクトのある見出しが必要ですから、The prime minister was arrested for the suspicion of bribery. が Prime Minister Arrested for Suspicion of Bribery となります。見出しの場合、動詞が省かれることが多く、主語+動詞の組み合わせである文ではないので、句読点も省かれます。また、注意書きなど、すぐに目に飛び込んでくるメッセージにしたい場合も、冠詞などを省きます。