notの位置
アメリカのニュースサイト(npr)を読んでいる中で、以下の文がありました。
Peter Grant, from Bayes Business School in London, agrees, saying it's important to not discourage people from making gifts.
to not discourageの部分ですが、not to 〜という表現もよく見かけます。to not 〜とnot to 〜でなにが違うのか、どのような場合にどちらを使うのか、わかる方がいたら教えてください。
回答
まず「not」が無い形、「to + 動詞の原形」は不定詞 (an infinitive) です。この「to」と「動詞の原型」の間に何かの単語が入って、「to + (何か) + 動詞の原型」の形になると、「a split infinitive」と呼ばれます。これは、文法的に良くないとされています。
では、不定詞を修飾したいときにはどうすればいいのでしょうか。例えば、
I’ll try to finish this project.
の不定詞「to finish」を、「quickly」で修飾したいとします。
(1) I’ll try to finish this project quickly.
(2) I’ll try to quickly finish this project.
(2) は split infinitive が出来てしまい、好ましくありません。
「not」で不定詞を修飾する場合も同じです。
(3) We will protest peacefully. It is important not to cause a riot.
(4) We will protest peacefully. It is important to not cause a riot.
(4) は split infinitive になってしまいます。
しかし、あえて split infinitive を使うことがあります。修飾語を動詞の直前に置くことで、強調が増す効果があるのです。口頭で (4) を言うなら、「not」を強く発音します。
日常生活でいつもやっているようなことではなくて、何か重要なこと、特別に気をつけたいようなことについて、敢えて split infinitive を使います。つまり、文法的な正しさよりも、強調の効果を優先したいときです。
以下、どれも使えます。Split infinitive を嫌がる人もいますが、文法を理解した上で、強調のために敢えて使っているのなら、私は良いと考えます。
I had a pen in my pocket, but my teacher told me to use a pencil always.
I had a pen in my pocket, but my teacher told me to always use a pencil.
(always を強調して発音)
Japanese leaders told North Korea not to launch any more missiles.
Japanese leaders told North Korea to not launch any more missiles.
(not を強調して発音)