submersibleは明らかに形容詞の形なのに、何故名詞でもあるのか。
気の毒なニュースをテーマにするのは、いつも気が引けるのですが、以下の
submersibleについて教えて下さい。
5 people in a 20-foot sealed tube: Inside the missing Titanic submersible
このsubmersibleはshipかboatが抜けているのではと辞書を調べると、潜水艇という名詞もありました。まさか、ついでに名詞にも使っちゃえといういい加減な文法の筈はないと思います。恐らく他にも形容詞と同型の名詞がたくさん有る気がします。何かの由来から同型になったと思うのですが、教えて頂ければ、記憶の助けになるのですが。
回答
形容詞が名詞として使用されることは、言語学的には nominalization といって、よくある現象です。nominalization は、言語が年月を経て、いろんな状況に適応しようとする過程で発生します。
submersible だけでなくて、automotive や social も名詞として定着しています。このような単語は、形容詞としての意味を持ちながら名詞化され、形容詞が示す対象や概念を指すようになりました。
おそらく、形容詞と名詞の組み合わせだと冗長になってしまう傾向があったために、便利な手段として、形容詞を名詞として使う方法が、時間の経過とともに生まれたと思われます。
言語は常に変化し、発展しています。誤解しないでいただきたいのですが、はじめに文法があって、それを基にして言語が作られたのではありません。まず先に言語があります。そして、学者の先生方が、その時代での規則性をまとめたのが文法です。
そのため、2023年の英語が、1950年の英語の文法に照らし合わせてみると、何か変なのは当たり前です。日本語でも同じですよね。
形容詞が名詞に変化することは、言語がコミュニケーションのニーズに適応するために、どのように進化するかの良い一例です。
a submersible と a submarine は別物で、
いわゆる潜水艦がエンジンなどを搭載した乗り物で a submarine にあたるのに対し、
a submersible は水中で長距離を進むような乗り物ではなく潜水させて海中海底などを観察・偵察するために使う潜水艇のことで、両者は似ていますが違うものを指しています。
submersible を形容詞として使って、a submersible raft, a submersible boat, a submersible camera, などと使いますが、ここについている冠詞 a はすべて raft, boat, camera という名詞についています。一方、a submersible といえば、submersible が名詞として使われていて、上記のような「潜水艇」のことを指します。