回答
まず、料理はまだ出来ていませんから、子供が尋ねているのは「何の料理があるの」ではありません。どんな食材があるのか、冷蔵庫には何が入っているのかと尋ねています。
What do we have in the fridge?
食材や冷蔵庫は家族で共有していますから、「What do you have? 」にはなりません。
また、その子供の年齢にもよると思います。つまり、食べ物の認識です。その子が「食べ物は家族で共有するもの」と理解している場合は、
What do we have?
と言います。そうではなくて、「食べ物は母親からもらうもの」と認識している場合は、
What do you have, mom?
と言うでしょう。でも、そもそもこのような質問ができるということは、小学校には入学しているのではないでしょうか。だとしたら、前者の「What do we have?」の方が一般的だと思います。
例えば「お昼はピザにしない?」は、一緒に食べることを前提にして、こう言います。
Mom, can we have a pizza for lunch?
もし子供がまだ幼くて、自分で棚からお菓子を取り出したり、冷蔵庫を開けたりできない場合は、「食べ物は母親からもらうもの」と認識していますから、こんなふうに言うでしょう。
Mommy, I’m hungry. What do you have, mommy?
日本語では主語を明確にすることはありませんが、英語では文を作る際には必ず主語を置かなければ文が成立しないことになっています。
日本語のやりとりで
母:「お昼何にする?」
子:「何があるの?」
ということからわかるように、日本語の概念では、主語ー動詞の関係を重視せず聞き手読み手にそれを想像させること(言わなくてもわかるよね的なおもんばからせる共同の意識)が一般的であるために、それぞれの文の主体を明確にせずに聞きたいこと知りたいこと(この場合では「お昼」「何」)を主語であるかのようにようにすり替えて置く(主体不在の)文が一般的です。
それに対して英語の概念では、言わなくてもわかるよね的なおもんばからせる共同の意識は皆無であることから、主語ー動詞の関係を重視して聞き手読み手にそれをはっきり文で伝えることが一般的であるために、「お昼」「何」は英語の文においては目的語となるものごとであるとして、主語をについては、「誰が」lunch に何を欲するのか、そして「誰が」lunch に何を備えている(提供し得る)のか、というように、「誰が」の部分が主語になると考えることが一般的です。(「お昼」「何」を主語とした英語のやりとりも可能ですが、一般的ではないため不自然になるか、特異な状況設定になります。)
そうすると、
母:「あなたは」lunch に何を食べたいのか。(What do you want for lunch?)
子:「あなたは・わたしたちは」lunch に何を備えている(提供し得る)のか。(What do you/we have?)
という文を作ることができます。
母による質問文への子の直接の答えとしては、
What do YOU want for lunch?
Do YOU want (what) for lunch?
YOU do want (what) for lunch.
I want (what) for lunch.
ということで、
→ I want 〜. (for lunch は redundant なので省略可)。
という答えが期待されています。
しかし子は母のその質問には直接に答えることをせず、別の質問を被せています。
その被せられた質問への答えとしては、
What do we have?
Do WE have (what)?
WE do have (what).
We have (what). (for lunch は省略されている)
となるので、
→ We have 〜.
という答えが期待されていることがわかります。
ここで、この主語を WE とするか、YOU とするかは、この子が物事をどう見ているかに依ります。
もしこの子が、ここで問われている lunch について、母は提供するだけの存在(食べない)で、その lunch は私だけが食べるもの、と思っているのであれば、
What do YOU have (for MY lunch)?
と問うでしょう。(心の中で YOU は提供 | I は MY lunch を提供される、というふうに YOU | ME の区切りをつけている)
もしこの子が、ここで問われている lunch について、母が作ってくれる lunch は当然母も私も共に食べるもの、と思っているのであれば、
What do WE have (for OUR lunch)?
と問うでしょう。(心の中で WE が OUR lunch のことを語っている、というふうに双方を WE で囲み込んでいる)
どちらの場合も英語としては正しい文なので、どちらが一般的か、ということではなく、どちらがその状況に適しているか、ということになります。
長くなりましたが、
1.英語の文を作る際(英語で書く時、しゃべる時)には、必ず一つ一つの文について主語を明確にしないと文が成り立たないので、主語を曖昧にすることが可能な日本語話者が英語を使う際には、常に自分が言うこと・書くことについて、その主語として何をどう置くのか、ということを瞬時に考えて決めてから、言いたいことについて(日本語からの置き換えではなく)英語の概念に沿って英語の文を瞬時に構築できることがとても大切だ、ということと、
2.英語で質問文を作る際(英語で何かを尋ねる際)には、必ずその質問文にはすでに答えとなる文が想定されているので、そこから遡って質問文を瞬時につくることができることがとても大切だ、
ということが言えると思います。