仮定法
英語の仮定法について質問です。
私は動詞が仮定法化する理由は「話者」が仮定であると認識しているがためと思っていました。しかし、この認識ではうまく説明できないような文もあります。 まず説明できる事例として以下の文を挙げます。
①He talks as if he were an expert.
「彼はまるで専門家のように話す。」
② If he were rich he would buy a big
island.
「もし彼がお金持ちなら大きな島を買うんだろう」
①の仮定法は彼は専門家ではないという「話者」の認識によって、一瞬話者が、彼は専門家に見えたが、そうではないと思い、仮定法にして話した結果です。
②の仮定法も、彼はお金持ちではなく、よって大きな島も買わないという「話者」の認識によって、仮定法化されています。
ここまではいいです。しかし以下の文の場合は「話者」ではなく「主語」の仮定の認識になってしまいますよね?
③He wishes he could fly.
「彼は空を飛ぶことを望んでいます。」
上記の文は「主語」である「彼」の、「空を飛ぶことはほぼ確実にあり得ない」という認識を仮定法化したものですよね?ここに話者の認識はないですよね?
もし彼は空を飛ぶことが不可能だと思っているが話者は普通にできるだろうと思っている場合、
He wishes he can fly.となるのか?いや、ならない気がします...。
又逆に
He hopes he could fly.
「彼は空を飛ぶことができることを望む」
という文があれば彼は割と本気で空を飛べると思っているが、話し手は無理だと思っているということを表現できるのですかね?
僕の質問としては「仮定法では誰の仮定であるという認識が英文を仮定法化させているのか?」ということです。
一体誰なのでしょうか?
主語なのか話者なのか?
回答
wish that S V や
hope that S V が
それぞれ仮定法もしくは直説法のどちらかを要求する、という関連はありません。
あくまで、S V の部分が事実であれば直説法、仮定であれば仮定法を用いる、ということです。
I wish you will succeed. 必ず成功すると信じてそれを望む
I wish you would succeed. 成功する可能性を信じてそれを望む
I hope you will understand. 相手が必ずや理解してくれるだろうという意を込めて(理解するべきだくらいの思い込みで)それを願う
I hope you would understand. 相手がひょっとしたら理解してくれないかもしれないけれど、できれば理解してほしいと願う
英語文法の仮定法は、話者や主語がどう認識するかではなく、述べられていることが(客観的に見て)現実であるかそうではないか、というところに着目します。そして仮定法を作る場合、現実ではないがもしそうであれば、ということを表す文の動詞の時制をひとつ過去の方向にずらす、という方法を取ります。
これは、日本語で「もし~だったとすれば」と過去形を使うのに似ているかもしれません。
He talks as if he were an expert.
という文で使われている仮定法(as if he WERE an expert)は、talk している he が云々、ということではなく、客観的な事実として He is an expert. ではないのであるが、あたかも he WERE an expert であるかのように話す、ということです。
If he were rich he would buy a big island.
という文で使われている仮定法(if he WERE rich, he WOULD buy a big island)も、主語となる he がどう認識しているか、ではなく、客観的な事実として He is not rich なのだが if he WERE rich、そして he will not buy a big island なのだがもし rich であれば he WOULD buy a big island だ、ということを述べています。
同じように考えると、
He wishes he could fly.
という文で使われている仮定法の部分(he COULD fly)は、客観的な事実として he can fly ではないのであるが、もしそれが可能であれば he COULD fly だということを he が wish している、ということで、he がそれをどう認識しているかとは無関係です。
これを
He wishes he can fly.
といえば、おっしゃる通り、彼は割と本気で空を飛べると思っていて、それを望んでいる、ということになります。
この can と could の使い分けは日常会話でもよく行われます。
Oh sorry, I really wish I could help you now, but I just don't have time.
ごめんな、マジほんとに手伝ってあげたいんだけど、俺ちょっと全然時間ないんだよ。→手伝うの無理、とはっきり言っている。
Oh sorry, I really wish I can help you now, but I just don't have time.
ごめんな、マジほんとに手伝ってやったらいいんだけど、俺ちょっと全然時間ないんだよ。→手伝おうと思ったら手伝えるっぽい、というニュアンスになる。
He hopes he could fly.
という文ですが、動詞の wish が天にでも仰いでそうなったらいいな、と少し他力本願的に「望む」のに対し、hope は自分がなんとか頑張ってそうなってほしい、とかなり自己の努力や能力にかけて「願う」というようなニュアンスの違いがありますが、he COULD fly という部分が仮定法で客観的な事実としては he can fly なわけはないが希望的観測として不可能を承知で he COULD fly となってほしい、と言っていることになります。